04工場・ものづくり

床上操作式クレーン運転技能講習の取り方|全科目20時間・5t未満は特別教育

工場の天井クレーンを、荷と一緒に歩きながら動かす「床上操作式クレーン」。つり上げ荷重5トン以上なら技能講習、5トン未満なら特別教育が必要です。講習の科目と時間(全科目20時間)、免除の条件、日数と費用の例を、国の法令と講習機関の公式情報で整理しました。

全科目20時間・3日間の例

床上操作式クレーンの取り方

AT A GLANCE

床上操作式クレーン運転技能講習の早見表

資格名
床上操作式クレーン運転技能講習
種類
技能講習(労働安全衛生法)
費用の目安
全科目で41,855円の例(東京・税込・テキスト代込み)
かかる日数
全科目は3日間(学科2日・実技1日)の例
受ける条件
玉掛け技能講習などを修了していると、一部の科目が免除される
公式の出典
公式情報を確認する ↗

MONEY MAP

この仕事の月収と、費用対効果

統計の職種:クレーン・ウインチ運転従事者(人数が少なく数字がぶれやすい職種)

この職種41.3万円
全体の平均37.0万円

月収=きまって支給する現金給与額(残業代などを含む・賞与を除く)。全体の平均との差は+4.2万円。

この職種全体
月収(きまって支給)41.3万円37.0万円
うち基本の給与(所定内)35.9万円34.1万円
年間の賞与など91.2万円101.0万円
年収の目安(計算値)約587万円約546万円

費用対効果

取るのにかかる費用 41,855円(全科目・東京の例)は、この職種の月収の約10%、日数にすると約3.0日分です。

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・男女計・企業規模10人以上(e-Stat ↗)。年収の目安は「月収×12+賞与」で計算した値です。統計は「その職種で働く人の平均」で、資格を持つ人だけの平均ではありません。日数は1か月を30日として計算しています。

目次

「工場の天井クレーンを動かすのに、どの資格がいるの?」

「講習は何日? 仕事は何日休めばいい?」

「5トン未満のクレーンしか使わないなら、講習はいらない?」

床上操作式クレーンは、工場の天井などに付いたクレーンを、床の上を荷と一緒に歩きながら動かす方式のクレーンです。国家試験ではなく、登録教習機関の講習を受けて取る修了証です。

この記事でわかること

  • 5トン以上と5トン未満、運転のしかたで変わる必要な資格
  • 修了証を受け取るまでの4ステップ
  • 講習の科目と時間(全科目20時間)と、免除の条件
  • 日数と費用の例(全科目で3日・41,855円)

この記事の答え

つり上げ荷重5トン以上の床上操作式クレーンを運転するには、「床上操作式クレーン運転技能講習」の修了か、クレーン・デリック運転士免許が必要です。

講習は全科目で20時間です。玉掛け技能講習などを修了している人は、一部の科目が免除されます。

費用は、東京の全科目の例で41,855円(税込・テキスト代込み)です。

読者読者

工場の天井クレーンを使う係になりました。クレーンの免許がいるんですよね?

ちずがめちずがめ

クレーンの重さと、どこで操作するかで変わるんだ。まずはそこを確かめよう。

ゴール:取ると何ができる?

床上操作式クレーンとは、床の上で操作し、操作する人が荷の動きと一緒に移動する方式のクレーンです。手元のボタン(ペンダントスイッチ)を持って、荷のそばを歩きながら動かす形が代表的です。

技能講習を修了すると、つり上げ荷重5トン以上の床上操作式クレーンを運転する仕事ができます。つり上げ荷重とは、そのクレーンがつれる重さの上限のことです。

必要な資格は、クレーンの重さと、運転のしかたで分かれます。

運転するクレーン必要なもの
つり上げ荷重5トン未満のクレーン特別教育(会社が行う教育)
5トン以上の床上操作式クレーン(荷と一緒に歩いて操作)床上操作式クレーン運転技能講習の修了、またはクレーン・デリック運転士免許
5トン以上の床上運転式クレーン(クレーンの走行と一緒に移動して操作)クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーンに限定した免許もある)
5トン以上の、運転室で操作するクレーンなどクレーン・デリック運転士免許

無線のリモコンで、荷と一緒に移動せずに操作するクレーンは、床上操作式には入りません。5トン以上なら、クレーン・デリック運転士免許が必要です。

法律ではどう決まっている?

根拠は労働安全衛生法施行令の第20条第6号です。つり上げ荷重5トン以上のクレーンの運転は、資格のある人でなければつかせてはいけない「就業制限」の仕事とされています。

そのうえで、クレーン等安全規則の第22条が、この仕事はクレーン・デリック運転士免許を受けた人と決めています。ただし書きで、床上操作式クレーンの運転は技能講習の修了者でもよいとされています。

5トン未満については、同じ規則の第21条で、会社が特別教育を行うよう決められています。

読者読者

うちのはペンダントを持って歩くタイプで、10トンって書いてありました。

ちずがめちずがめ

それなら技能講習の道だね。ちずがめの中の人も持っているよ。一歩ずつ行けば、ちゃんと着くよ。

道筋:修了証を受け取るまでの4ステップ

  1. 自分の区分を確かめる 玉掛け技能講習やクレーンの免許があるかで、受ける科目が変わります(下の表)。
  2. 登録教習機関に申し込む 講習を行えるのは、都道府県労働局に登録された教習機関です。日程と料金は機関ごとに決まっています。
  3. 学科と実技の講習を受ける 学科はクレーンの知識・電気・力学・法令、実技はクレーンの運転と合図です。
  4. 修了試験に合格して修了証を受け取る 学科試験と実技試験があります。合格すると修了証が交付されます。

申し込む前に、次の3つを手元で確かめておくと、区分の選び間違いを防げます。

  • 職場のクレーンの「つり上げ荷重」は5トン以上か、5トン未満か
  • 操作のしかたは、荷と一緒に歩くペンダント式か、無線や運転室か
  • 玉掛け技能講習や、小型移動式クレーン運転技能講習の修了証を持っているか

講習の時間:全科目で20時間

国の告示(クレーン等運転関係技能講習規程)では、講習の中身と時間がこう決まっています。

区分科目時間
学科床上操作式クレーンに関する知識6時間
学科原動機及び電気に関する知識3時間
学科運転のために必要な力学に関する知識3時間
学科関係法令1時間
実技床上操作式クレーンの運転6時間
実技運転のための合図1時間

学科は13時間、実技は7時間で、合わせて20時間です。

各科目で学ぶこと

告示には、科目ごとに学ぶ範囲も書かれています。言いかえると、次のような中身です。

  • クレーンに関する知識:クレーンの種類と形、つり上げ・走行・横移動の仕組み、安全装置とブレーキ、扱い方
  • 原動機及び電気に関する知識:モーター、電流と電圧、配線やスイッチ類、点検と補修、感電の危険
  • 力学に関する知識:力のつり合い、重心、荷重、ワイヤロープやフックの強さ、掛け方と荷重の関係
  • 関係法令:労働安全衛生法やクレーン等安全規則のうち、関わるところ
  • 実技の運転:基本操作、重さの確認、荷のつり上げ、決められた経路での運搬、決まった位置への荷おろし
  • 実技の合図:つり上げ、おろし、横に動かすときなどの合図

学科は、おおむね100人以内を1つの単位にして行います。実技は10人以内が1つの単位です。

講習の最後には修了試験があります。学科は筆記か口述、実技は実際の運転で行います。

免除で短くなる人

持っている資格や経験によって、一部の科目が免除されます。

あなたの状態免除される科目講習の時間
資格・経験なしなし20時間
玉掛け技能講習を修了している力学(3時間)と合図(1時間)16時間
小型移動式クレーン運転技能講習を修了している力学(3時間)と合図(1時間)16時間
移動式クレーン運転士免許か、揚貨装置運転士免許を持っている力学(3時間)と合図(1時間)16時間
決められたクレーン等の運転の仕事に6か月以上ついた合図(1時間)19時間

※時間はどれも告示の科目の時間を足したもので、修了試験の時間は入っていません。告示には、鉱山での経験などほかの免除もあります。経験の数え方や証明のしかた、どの区分で受けられるかは、申し込む教習機関で確かめてください。

日数の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の床上操作式クレーン運転技能講習は、学科2日・実技1日の3日間です。実技の日程は、申し込んだあとに受講票で知らされます。

この機関の時間割では、学科の最後に修了試験が1時間、実技の最後にも修了試験が1時間(目安)入っています。

修了試験に合格すると、原則として講習の最終日に、写真入りのプラスチックカードの修了証が交付されます。

この機関では、受講の区分が2つに分かれています。未経験者の区分と、玉掛け技能講習や小型移動式クレーン運転技能講習(5トン未満)、移動式クレーン・デリック・揚貨装置の運転免許を持っている人の区分です。後者は、申し込む時点で資格を持っていることが条件です。

なお、この機関の講習はテキストも修了試験も日本語(漢字を含む)です。日本語の読み書きに不安がある人は、申し込む前に問い合わせておくと安心です。

日程の組み方は教習機関ごとに違います。仕事を休む日数を決める前に、申し込み先の日程表を見てください。

5トン未満の特別教育の中身

5トン未満のクレーンだけを運転する場合は、特別教育です。国の告示(クレーン取扱い業務等特別教育規程)で、科目と時間がこう決まっています。

区分科目時間
学科クレーンに関する知識3時間以上
学科原動機及び電気に関する知識3時間以上
学科運転のために必要な力学に関する知識2時間以上
学科関係法令1時間以上
実技クレーンの運転3時間以上
実技運転のための合図1時間以上

特別教育は、会社が働く人に行うものと決められています。修了しても、5トン以上のクレーンは運転できません。あとから大きなクレーンを使う可能性があるなら、はじめから技能講習を考えておくと迷いません。

費用:全科目で約4.2万円の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の料金表では、床上操作式クレーン運転技能講習はこうなっています。

区分受講料テキスト代合計(税込)
全科目40,150円1,705円41,855円
一部免除35,750円1,705円37,455円

※令和8年9月1日現在の料金表より。受講料は教習機関ごとに決まっていて、場所によって違います。申し込み先の公式の料金表で確かめてください。

読者読者

4万円台か…。自分で払うんでしょうか?

ちずがめちずがめ

中の人の周りの現場では、会社が費用を出してくれるのがふつうだよ。中の人も会社の負担で取ったんだ。まず職場に聞いてみよう。

取ったあとの仕事

床上操作式クレーンの運転は、重い材料や製品をつり上げて、決まった場所へ運ぶ仕事です。どんな職場で使われているかは、求人票の仕事内容で確かめましょう。

国の統計(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年9月分)では、ハローワークの有効求人はこうなっていました。

仕事の分類有効求人
製品製造・加工処理(金属製品)41,278件

※常用(パートを含む)の数字です。この中には、クレーンの資格を求めていない求人も含まれます。

荷にワイヤロープをかける「玉掛け」の仕事は、運転とは別の資格です。つり上げ荷重1トン以上のクレーンの玉掛けには玉掛け技能講習の修了など、1トン未満には特別教育が必要です(クレーン等安全規則 第221条・第222条)。

よくある質問

床上操作式クレーンに「免許」はないのですか?

国家試験の免許ではなく、登録教習機関の「床上操作式クレーン運転技能講習」を修了して受け取る修了証です。クレーン・デリック運転士免許を持っていれば、講習を受けなくても運転できます。

5トン未満のクレーンなら講習はいりませんか?

いります。つり上げ荷重5トン未満のクレーンの運転には、特別教育が必要です。

無線のリモコンで動かすクレーンも、この講習で運転できますか?

荷と一緒に移動せずに操作する方式は、床上操作式に入りません。5トン以上なら、クレーン・デリック運転士免許が必要です。

参考・出典

出典(8件)
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