04工場・ものづくり

アーク溶接特別教育の取り方|学科11時間+実技10時間・3日間の例

アーク溶接の仕事に就くには、まず「アーク溶接等の業務に係る特別教育」が必要です。学科11時間・実技10時間の中身、東京で3日間・約2万円の例、修了したあとのJIS溶接技能者への道まで、国の告示と講習機関・日本溶接協会の公式情報で整理しました。

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学科11時間+実技10時間

アーク溶接特別教育の取り方

AT A GLANCE

アーク溶接等の業務に係る特別教育の早見表

資格名
アーク溶接等の業務に係る特別教育
種類
特別教育(労働安全衛生法)
費用の目安
一般19,910円の例(東京・税込・テキスト代込み・令和8年9月1日現在)
かかる日数
3日間(学科2日・実技1日)の例
受ける条件
東京労働基準協会連合会の例では受講資格は特になし
公式の出典
公式情報を確認する ↗

MONEY MAP

この仕事の月収と、費用対効果

統計の職種:金属溶接・溶断従事者

この職種32.3万円
全体の平均37.0万円

月収=きまって支給する現金給与額(残業代などを含む・賞与を除く)。全体の平均との差は−4.7万円。

この職種全体
月収(きまって支給)32.3万円37.0万円
うち基本の給与(所定内)27.7万円34.1万円
年間の賞与など66.6万円101.0万円
年収の目安(計算値)約455万円約546万円

費用対効果

取るのにかかる費用 19,910円(東京の例・一般)は、この職種の月収の約6%、日数にすると約1.8日分です。

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・男女計・企業規模10人以上(e-Stat ↗)。年収の目安は「月収×12+賞与」で計算した値です。統計は「その職種で働く人の平均」で、資格を持つ人だけの平均ではありません。日数は1か月を30日として計算しています。

目次

「溶接の仕事をしたいけど、最初に何の資格がいるの?」

「特別教育って、試験があるの? 何日かかる?」

「JISの溶接の資格とは何が違う? どっちを先に取ればいい?」

アーク溶接の仕事に就くとき、最初に必要になるのが**「アーク溶接等の業務に係る特別教育」**です。国の告示で、学科と実技の中身と時間が決まっています。

この記事でわかること

  • アーク溶接の仕事に特別教育が必要な理由
  • 修了証を受け取るまでの4ステップ
  • 学科11時間・実技10時間の中身
  • 日数と費用の例(東京で3日間・19,910円)

この記事の答え

アーク溶接機を使って金属を溶接・溶断する仕事に就くには、「アーク溶接等の業務に係る特別教育」を受ける必要があります。

国の決まりでは、学科11時間以上と実技10時間以上です。

東京の講習機関の例では3日間、費用は一般19,910円(税込・テキスト代込み)です。

読者読者

工場で溶接の仕事をしてみたいです。最初に何をすればいいですか?

ちずがめちずがめ

まずは入口の「特別教育」から地図を広げよう。順番に見ていくね。

ゴール:取ると何ができる?

労働安全衛生法では、危ない仕事や体に悪い影響が出るおそれのある仕事に人をつかせるとき、会社(事業者)は特別の教育をしなければならないと決まっています。

その仕事の一つが、労働安全衛生規則第36条第3号の**「アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等」**です。溶断(ようだん)は、熱で金属を切ることです。

つまり、特別教育を受けると、アーク溶接やアーク溶断の仕事に就くための入口に立てます。

項目内容
正式な名前アーク溶接等の業務に係る特別教育
決めている法令労働安全衛生法第59条第3項・労働安全衛生規則第36条第3号
中身を決めている告示安全衛生特別教育規程 第4条
修了のしるし講習機関の修了証(東京労働基準協会連合会の例では写真入りのカード)

特別教育は国家試験の「免許」ではありません。法律が会社に求めている教育で、外部の講習機関でも受けられます。

会社にも決まりがある

特別教育は、働く人より先に、会社に向けた決まりです。労働安全衛生規則には、会社がやることも書かれています。

決まり中身
第37条(科目の省略)十分な知識と技能があると認められる人は、その科目を省略できる
第38条(記録の保存)特別教育をしたら、受けた人や科目の記録をつくり、3年間保存する

すでに溶接の経験がある人でも、どの科目を省略できるかは会社の判断になります。転職するときは、前の職場で受けた修了証を手元に残しておくと説明しやすくなります。

アーク溶接とガス溶接は別のもの

溶接には、電気の火花(アーク)を使うアーク溶接と、ガスの炎を使うガス溶接があります。

この記事の特別教育は、アーク溶接のためのものです。日本溶接協会の案内では、ガス溶接の資格試験を受けるには「ガス溶接技能講習」の修了が必要とされています。ガス溶接は別の講習だと覚えておきましょう。

道筋:修了証を受け取るまでの4ステップ

  1. 職場で必要か確かめる アーク溶接機を使う仕事かどうかを確かめます。会社が社内で教育する場合もあるので、先に職場に聞くと二度手間になりません。
  2. 講習機関に申し込む 外部で受けるなら、各地の労働基準協会などの講習に申し込みます。日程と料金は機関ごとに決まっています。
  3. 学科と実技を受ける 学科は溶接の仕組み・装置・作業の方法・法令、実技は溶接装置の扱いと作業の方法です(下の表)。
  4. 修了証を受け取る 東京労働基準協会連合会の例では、原則として講習の最終日に修了証が交付されます。

講習の中身と時間

国の告示(安全衛生特別教育規程 第4条)では、講習の中身と時間がこう決まっています。時間は「この時間以上行う」という最低ラインです。

区分科目主な範囲時間
学科アーク溶接等に関する知識溶接の基礎の理屈・電気の基礎知識1時間
学科アーク溶接装置に関する基礎知識直流・交流の溶接機、電撃防止装置、溶接棒とホルダー、配線3時間
学科アーク溶接等の作業の方法に関する知識作業前の点検、溶接・溶断の方法、溶接部の点検、後片付け、事故を防ぐこと6時間
学科関係法令法律・政令・規則の関係する条文1時間
実技アーク溶接装置の取扱いと作業の方法―10時間

学科が合計11時間、実技が10時間で、全部で21時間です。

「電撃防止装置」は、交流の溶接機で感電を防ぐための装置です。学科では、溶接のやり方だけでなく、感電などの事故を防ぐ知識も学びます。

学科でいちばん長いのは「作業の方法」の6時間です。作業の前に点検し、溶接したところを確かめ、終わったら片付けるまでの流れを学びます。

実技の10時間は、溶接装置の扱い方と作業のしかたです。学科で覚えたことを、実際の装置で確かめる時間になります。

読者読者

実技もあるんですね。溶接をしたことがなくても大丈夫ですか?

ちずがめちずがめ

受ける条件は申し込み先で確かめてね。一歩ずつ行けば、ちゃんと着くよ。

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の案内では、受講資格は「特に無し」となっています。ほかの講習機関で受ける場合は、それぞれの案内を見てください。

日数:3日間の例

東京労働基準協会連合会の安全衛生研修センターでは、学科2日・実技1日の3日間です。

修了すると、原則としてその日のうちに写真入りのプラスチックカードの修了証が交付されます。その日に受け取れない場合は後日郵送で、郵送料は受講者の負担と案内されています。

日程の組み方は講習機関ごとに違います。仕事を休む日を決める前に、申し込み先の日程表を見ておきましょう。

費用:一般19,910円の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の料金表では、アーク溶接の特別教育はこうなっています。

区分受講料テキスト代合計(税込)
一般18,700円1,210円19,910円
会員16,500円1,210円17,710円

※令和8年9月1日現在の料金表より。会員は、東京労働基準協会連合会の本部・支部や地区の労働基準協会の会員です。受講料は講習機関ごとに決まっていて、場所によって違います。申し込み先の公式の料金表で確かめてください。

読者読者

2万円くらいなら、自分で払ってでも先に受けておこうかな。

ちずがめちずがめ

働き先が決まっているなら、先に職場の決まりを聞いてみるといいよ。

その先の道:JIS溶接技能者の資格

特別教育は、溶接の仕事の入口です。腕前を証明する資格として、日本溶接協会が行う溶接技能者の評価試験があります。JIS(日本産業規格)などの規格にもとづく試験で、一般に「JIS溶接」と呼ばれています。

日本溶接協会の案内から、要点だけまとめます。

項目内容
種類手溶接(アーク溶接)・半自動溶接・ステンレス鋼溶接など。材料や溶接方法、板の厚さ、溶接の姿勢でさらに細かく分かれる
基本級の受験条件(手溶接・半自動溶接など)1か月以上溶接技術を習った15歳以上の人
特別教育との関係ガス溶接と銀ろう付以外の資格では、アーク溶接等特別教育を修了していることが望ましいとされる
試験学科試験と実技試験(資格の種類による)
結果受験後2か月程度で通知
有効期間証明書は1年。続けるには毎年の手続きと、3年ごとの再評価が必要

どの種類を受けるかは、実際の仕事に近いものか、仕事の発注元が求めるものを選ぶのが基本とされています。料金や日程は、日本溶接協会の公式ページで確かめてください。

取ったあとの仕事

アーク溶接は、金属の部品や製品をつくる工場、鉄骨や機械をつくる現場などで使われています。

国の統計(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年9月分)では、「製品製造・加工処理(金属製品)」の仕事のハローワークの有効求人は41,278件でした(常用・パートを含む)。

この数字は溶接だけの求人ではなく、金属製品をつくる仕事全体の数です。求人を探すときは、「溶接」「特別教育」の言葉で絞りこむと見つけやすくなります。

求人票に「アーク溶接特別教育」と書かれていたら、修了証を持っていることが求められている、または入社後に受ける前提だと読めます。どちらなのかは、応募の前に求人を出している会社に聞いて確かめましょう。

そろえる教材

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eラーニングで学ぶなら:SAT

現場系・技術系の資格のeラーニングを扱うSAT株式会社の講座一覧には、「アーク溶接等特別教育」があります(2026年11月3日に公式サイトで確認)。実技の扱いや修了証の条件は、講座ページで確かめてください。

よくある質問

アーク溶接の特別教育に試験はありますか?

国の告示(安全衛生特別教育規程 第4条)で決まっているのは、学科と実技の科目と時間です。修了のしかたは講習機関によって違うので、申し込み先の案内で確かめてください。

特別教育とJIS溶接技能者は、どちらを先に取りますか?

特別教育は、アーク溶接の仕事に就くために法律で求められている教育です。日本溶接協会は、JIS溶接技能者の多くの資格で、特別教育を修了していることが望ましいとしています。先に特別教育を受けておくと、次の道に進みやすくなります。

ガス溶接もこの特別教育でできますか?

できません。この特別教育はアーク溶接のためのものです。ガス溶接には、別の「ガス溶接技能講習」があります。

参考・出典

出典(6件)
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