03建設・土木・電気工事

玉掛け技能講習の取り方|全科目19時間・1トン未満は特別教育

クレーンで荷をつる「玉掛け」は、つり上げ荷重1トン以上なら技能講習、1トン未満なら特別教育が必要です。講習の科目と時間(全科目19時間)、免除で短くなる条件、日数と費用の例を、国の告示と講習機関の公式情報で整理しました。

全科目19時間・3日間の例

玉掛け技能講習の取り方

AT A GLANCE

玉掛け技能講習の早見表

資格名
玉掛け技能講習
種類
技能講習(労働安全衛生法)
費用の目安
全科目で33,030円の例(東京・税込・テキスト代込み)
かかる日数
全科目は3日間(学科2日・実技1日)の例
受ける条件
クレーンの免許や技能講習を持っていると、一部の科目が免除される
公式の出典
公式情報を確認する ↗

MONEY MAP

この仕事の月収と、費用対効果

統計の職種:その他の定置・建設機械運転従事者(玉掛け技能工・クレーン合図員を含む職種)

この職種32.2万円
全体の平均37.0万円

月収=きまって支給する現金給与額(残業代などを含む・賞与を除く)。全体の平均との差は−4.9万円。

この職種全体
月収(きまって支給)32.2万円37.0万円
うち基本の給与(所定内)28.5万円34.1万円
年間の賞与など66.3万円101.0万円
年収の目安(計算値)約452万円約546万円

費用対効果

取るのにかかる費用 33,030円(全科目・東京の例)は、この職種の月収の約10%、日数にすると約3.1日分です。

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・男女計・企業規模10人以上(e-Stat ↗)。年収の目安は「月収×12+賞与」で計算した値です。統計は「その職種で働く人の平均」で、資格を持つ人だけの平均ではありません。日数は1か月を30日として計算しています。

目次

「現場で玉掛けを取ってと言われたけど、どんな資格?」

「講習は何日? 仕事は何日休めばいい?」

「1トン未満のクレーンしか使わないなら、講習はいらない?」

玉掛けは、クレーンで荷をつるときに、ワイヤーロープなどを荷にかけたり外したりする仕事です。国家試験ではなく、登録教習機関の講習を受けて取る修了証です。

この記事でわかること

  • 1トン以上と1トン未満で、必要なものの違い
  • 修了証を受け取るまでの4ステップ
  • 講習の科目と時間(全科目19時間)と、免除の条件
  • 日数と費用の例(全科目で3日・33,030円)

この記事の答え

つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛けをするには、「玉掛け技能講習」を修了する必要があります。

講習は全科目で19時間です。クレーンの免許や技能講習を持っている人は、一部の科目が免除されます。

費用は、東京の全科目の例で33,030円(税込・テキスト代込み)です。

読者読者

現場で玉掛けを取ってと言われました。重い荷物をつる人が取るものですか?

ちずがめちずがめ

荷物の重さより、使うクレーンで決まるんだ。まずはそこから確かめよう。

ゴール:取ると何ができる?

玉掛けとは、ワイヤーロープやチェーンなどの道具(玉掛け用具)を使って、荷をクレーンのフックにかけたり外したりする作業です。荷が落ちないよう、正しくかけるのが仕事の中心です。

必要な資格は、つる荷の重さではなく、使うクレーンの「つり上げ荷重」(そのクレーンがつれる重さの上限)で決まります。

技能講習を修了すると、つり上げ荷重1トン以上を含め、クレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛けの仕事ができます。

1トン未満のクレーンだけなら、もっと短い「特別教育」でできます。ただし、1トン以上の玉掛けはできません。

玉掛けをするクレーン等必要なもの時間
つり上げ荷重1トン以上玉掛け技能講習の修了全科目19時間
つり上げ荷重1トン未満特別教育(技能講習の修了でも可)学科5時間以上・実技4時間以上

玉掛けの資格は、クレーンを運転する資格とは別です。クレーンを運転するには、運転のための免許や講習が別に必要です。

法律ではどう決まっている?

根拠は労働安全衛生法施行令の第20条第16号です。つり上げ荷重1トン以上のクレーン等の玉掛けは、「就業制限」のある仕事とされています。資格のある人でなければ、つかせてはいけない仕事という意味です。

そのうえで、クレーン等安全規則の第221条が、この仕事につける人を決めています。中心になるのが、玉掛け技能講習を修了した人です。

1トン未満については、同じ規則の第222条で、会社が特別教育を行うよう決められています。

道筋:修了証を受け取るまでの4ステップ

  1. 自分の区分を確かめる クレーンの免許や技能講習、玉掛けの補助の経験があるかで、受ける科目が変わります(下の表)。
  2. 登録教習機関に申し込む 講習を行えるのは、都道府県労働局に登録された教習機関です。日程と料金は機関ごとに決まっています。
  3. 学科と実技の講習を受ける 学科はクレーンの知識・力学・玉掛けの方法・法令、実技は玉掛けの作業と合図です。
  4. 修了試験に合格して修了証を受け取る 学科試験と実技試験があります。合格すると修了証が交付されます。

申し込む前に、次の3つを手元で確かめておくと、区分の選び間違いを防げます。

  • 職場で使うクレーンの「つり上げ荷重」は1トン以上か、1トン未満か
  • クレーンの運転士免許や、床上操作式・小型移動式クレーンの技能講習の修了証を持っているか
  • 玉掛けの補助などの経験がある場合、会社に証明を出してもらえるか

講習の時間:全科目で19時間

国の告示(玉掛け技能講習規程)では、講習の中身と時間がこう決まっています。

区分科目時間
学科クレーン等に関する知識1時間
学科玉掛けに必要な力学に関する知識3時間
学科玉掛けの方法7時間
学科関係法令1時間
実技クレーン等の玉掛け6時間
実技クレーン等の運転のための合図1時間

学科は12時間、実技は7時間で、合わせて19時間です。実技では、0.5トン以上の荷を使って玉掛けの作業をします。

各科目で学ぶこと

告示には、科目ごとに学ぶ範囲も書かれています。言いかえると、次のような中身です。

  • クレーン等に関する知識:クレーンの種類と形、仕組み、安全装置とブレーキ
  • 力学に関する知識:力のつり合い、重心と荷の安定、摩擦、荷重、玉掛け用具の強さ
  • 玉掛けの方法:作業の進め方、玉掛け用具の選び方と使い方、基本の動き、合図のしかた
  • 関係法令:労働安全衛生法やクレーン等安全規則のうち、玉掛けに関わるところ
  • 実技の玉掛け:荷の重さを目で見積もる練習(質量目測)、用具の選び方と使い方、0.5トン以上の荷での作業
  • 実技の合図:手や小旗を使った、クレーンを動かすための合図

学科は、おおむね100人以内を1つの単位にして行います。実技は10人以内が1つの単位です。

講習の最後には修了試験があります。学科は筆記か口述、実技は実際の作業で行います。

免除で短くなる人

持っている免許や経験によって、一部の科目が免除されたり、別の時間割になったりします。

あなたの状態変わるところ講習の時間
免許・経験なしなし19時間
クレーン・デリック運転士免許、移動式クレーン運転士免許、揚貨装置運転士免許のどれかを持っている力学(3時間)と合図(1時間)が免除15時間
床上操作式クレーンか小型移動式クレーンの運転技能講習を修了している力学(3時間)と合図(1時間)が免除15時間
決められたクレーン等の運転の仕事に6か月以上ついた合図(1時間)が免除18時間
1トン以上のクレーン等で、玉掛けの補助の仕事に6か月以上ついた別の時間割(学科11時間・実技5時間)16時間
1トン未満のクレーン等で、玉掛けの仕事に6か月以上ついた上の時間割から合図を除く15時間

※時間はどれも告示の科目の時間を足したもので、修了試験の時間は入っていません。経験の数え方や証明のしかた、どの区分で受けられるかは、申し込む教習機関で確かめてください。

読者読者

何も持っていないので、19時間のほうですね。

ちずがめちずがめ

そう。ちずがめの中の人も持っているよ。一歩ずつ行けば、ちゃんと着くよ。

日数の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の玉掛け技能講習は、学科2日・実技1日の3日間です。実技を受ける日は、学科の1日目に知らされます。

修了試験に合格すると、原則として講習の最終日に、写真入りのプラスチックカードの修了証が交付されます。

この機関では、受講の区分が2つに分かれています。何も持っていない人の区分と、クレーンの運転士免許や、床上操作式・小型移動式クレーンの運転技能講習を持っている人の区分です。後者は、申し込む時点で資格を持っていることが条件です。

なお、この機関の講習はテキストも修了試験も日本語(漢字を含む)です。日本語の読み書きに不安がある人は、申し込む前に問い合わせておくと安心です。

日程の組み方は教習機関ごとに違います。仕事を休む日数を決める前に、申し込み先の日程表を見てください。

1トン未満の特別教育の中身

1トン未満のクレーン等だけで玉掛けをする場合は、特別教育です。国の告示(クレーン取扱い業務等特別教育規程)で、科目と時間がこう決まっています。

区分科目時間
学科クレーン等に関する知識1時間以上
学科玉掛けに必要な力学に関する知識1時間以上
学科玉掛けの方法2時間以上
学科関係法令1時間以上
実技クレーン等の玉掛け3時間以上
実技クレーン等の運転のための合図1時間以上

特別教育は、会社が働く人に行うものと決められています。修了しても、1トン以上の玉掛けはできません。あとから1トン以上の現場に移る可能性があるなら、はじめから技能講習を考えておくと迷いません。

費用:全科目で約3.3万円の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の料金表では、玉掛け技能講習はこうなっています。

区分受講料テキスト代合計(税込)
全科目31,350円1,680円33,030円
一部免除28,050円1,680円29,730円

※令和8年9月1日現在の料金表より。受講料は教習機関ごとに決まっていて、場所によって違います。申し込み先の公式の料金表で確かめてください。

読者読者

先にクレーンの講習を取ってから玉掛けを受けると、安くなるんですか?

ちずがめちずがめ

申し込む前に、教習機関の区分を見て、自分がどれに当たるか確かめておくと安心だよ。

読者読者

3万円台か…。自分で払うんでしょうか?

ちずがめちずがめ

中の人の周りの現場では、会社が出してくれるのがふつうだよ。中の人も会社の負担で取ったんだ。まず職場に聞いてみよう。

取ったあとの仕事

玉掛けの仕事は、建物の骨組みを組む現場や、土木の現場、クレーンのある工場などにあります。

国の統計(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年9月分)では、ハローワークの有効求人はこうなっていました。

仕事の分類有効求人
建設躯体工事(建物の骨組みをつくる仕事)19,158件
土木作業43,041件

※常用(パートを含む)の数字です。この中には、玉掛けの資格を求めていない求人も含まれます。

玉掛けに加えて、床上操作式クレーンや小型移動式クレーンの講習を取ると、同じ現場でできる仕事が広がります。

よくある質問

玉掛けに「免許」はないのですか?

国家試験の免許ではなく、登録教習機関の「玉掛け技能講習」を修了して受け取る修了証です。

1トン未満のクレーンなら講習はいりませんか?

いります。つり上げ荷重1トン未満のクレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛けには、特別教育が必要です。

軽い荷物をつるだけなら、特別教育で足りますか?

荷の重さでは決まりません。使うクレーンのつり上げ荷重が1トン以上なら、技能講習の修了が必要です。

参考・出典

出典(7件)
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