第一種電気工事士の取り方|受験料13,000円・免状には実務3年
第一種電気工事士は、ビルや工場など高い電圧で電気を受ける設備の工事もできる国家資格です。学科試験(CBT・筆記)と技能試験の中身、受験手数料、最新の合格率、免状に必要な実務経験3年、5年ごとの定期講習を、電気技術者試験センターと法令の公式情報で整理しました。
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試験は誰でも・免状は実務3年
第一種電気工事士の取り方
AT A GLANCE
第一種電気工事士の早見表
- 資格名
- 第一種電気工事士
- 種類
- 国家資格(電気工事士法)
- 費用の目安
- 受験手数料13,000円(インターネット申込み・非課税)+免状の交付手数料(都道府県ごと。広島県は6,000円)
- かかる日数
- 学科試験140分・技能試験60分(予定)。上期・下期の年2回
- 受ける条件
- 受験資格なし。免状の交付には、電気工事の実務経験3年以上が必要
- 公式の出典
- 公式情報を確認する ↗
MONEY MAP
この仕事の月収と、費用対効果
統計の職種:電気工事従事者(第一種電気工事士を持つ人だけの平均ではありません)
月収=きまって支給する現金給与額(残業代などを含む・賞与を除く)。全体の平均との差は+4.1万円。
| この職種 | 全体 | |
|---|---|---|
| 月収(きまって支給) | 41.1万円 | 37.0万円 |
| うち基本の給与(所定内) | 36.1万円 | 34.1万円 |
| 年間の賞与など | 134.3万円 | 101.0万円 |
| 年収の目安(計算値) | 約628万円 | 約546万円 |
費用対効果
取るのにかかる費用 13,000円(受験手数料(インターネット申込み))は、この職種の月収の約3%、日数にすると約0.9日分です。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・男女計・企業規模10人以上(e-Stat ↗)。年収の目安は「月収×12+賞与」で計算した値です。統計は「その職種で働く人の平均」で、資格を持つ人だけの平均ではありません。日数は1か月を30日として計算しています。
目次
「第二種と第一種は、できる工事がどう違うの?」
「受験料はいくら? 実務経験がないと受けられない?」
「合格したら、すぐ免状がもらえるの? 講習があるって本当?」
第一種電気工事士は、住宅や小さな店に加えて、ビルや工場などの電気設備の工事もできる国家資格です。試験は第二種と同じく、学科試験と技能試験の2段階です。
この記事でわかること
- 第二種との違い(工事できる範囲)
- 試験から免状を受け取るまでの6ステップと、実務経験3年の中身
- 学科試験(CBT・筆記)と技能試験の中身・受験手数料・最新の合格率
- 免状を取ったあとの5年ごとの定期講習
この記事の答え
試験は誰でも受けられます。学科試験(140分・50問)で60点以上、技能試験(60分の予定)で欠陥のない作品を仕上げれば合格です。ただし免状を受け取るには、電気工事の実務経験が3年以上必要です。
受験手数料はインターネット申込みで13,000円。令和8年度下期の学科試験の合格率は58.6%、上期の技能試験は56.1%でした。免状を取ったあとは、5年以内ごとに定期講習を受けます。
第二種を持っていないんですが、いきなり第一種を受けてもいいんですか?
受けることはできるよ。ただ、合格のあとに気をつける点があるから、順番に見ていこう。
ゴール:取ると何ができる?
電気工事士法では、決められた電気工事の作業は、免状を持つ人でなければしてはいけないと定めています。第一種電気工事士の免状があれば、次の2つの工事の作業ができます。
- 一般用電気工作物等:住宅や小さな店など、低い電圧(600V以下)で電気を受ける場所の設備
- 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備):高い電圧で電気を受ける、小さめのビルや工場などの設備
| 資格 | 一般用電気工作物等(住宅・小さな店など) | 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備) |
|---|---|---|
| 第一種電気工事士 | できる | できる |
| 第二種電気工事士 | できる | できない |
ネオン工事と非常用予備発電装置の工事は「特殊電気工事」と呼ばれ、第一種でも別の認定証が必要です。
もう1つ、事業者が手続きをして産業保安監督部長の許可を受けると、第一種電気工事士を、その事業場の主任技術者(電気設備の保安の責任者)にできる仕組みもあります。手続きをするのは事業者で、本人ではありません。
道筋:免状を受け取るまでの6ステップ
- 試験日を調べる 試験は上期と下期の年2回です。両方に申し込めますが、受験手数料はそれぞれにかかります。
- 受験を申し込む 原則インターネットで申し込みます。学科試験を免除される人も、申込みの期間は同じです。
- 学科試験を受ける パソコンで答える「CBT方式」か、マークシートの「筆記方式」で受けます。CBT方式は、決められた期間の中で会場と日時を予約します。
- 技能試験を受ける 学科試験に合格した人(または学科試験を免除された人)が受けます。工具は自分で持っていきます。
- 実務経験を3年以上積む 電気工事の実務経験が3年以上あることが、免状を受け取る条件です。合格する前の経験も対象になります。
- 免状の交付を申請する 住民登録をしている都道府県の知事に申請し、免状を受け取ります。
実務経験の対象になるのは、たとえば第二種電気工事士として行う住宅などの電気工事や、500kW以上の需要設備の電気工事です。合格したときにすでに3年を満たしていれば、すぐに申請できます。
逆に、法令で「軽微な工事」とされるものや、ネオン工事などの特殊電気工事は、実務経験の対象になりません。詳しい中身は、都道府県の電気工事士の担当窓口に確かめます。
第二種を持っていない人の注意点
第一種の試験に合格しただけでは、住宅などの一般用電気工作物等の工事もできません。試験センターの受験案内でも、この点に注意が書かれています。
住宅などの工事をしたいときは、第二種電気工事士の免状を取るか、所定の実務経験を積んで第一種の免状を取る必要があります。
なお、第一種の試験に合格した人は、産業保安監督部長に申請して「認定電気工事従事者認定証」を受けると、簡易電気工事(最大電力500kW未満の自家用電気工作物のうち、600V以下で使う部分の工事。電線路を除く)の作業ができます。
合格しても、実務経験がないと免状はもらえないんですね。
そうなんだ。先に第二種を取って現場で経験を積む、という道筋もあるよ。自分に合う順番を選ぼう。
試験の中身:学科140分・技能60分
学科試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験の方法 | 四肢択一。CBT方式(パソコン)か筆記方式(マークシート) |
| 試験時間 | 140分 |
| 出題数 | 50問(一般問題40問程度・配線図問題10問程度) |
| 合格基準 | 60点以上 |
出題される科目は、次の9つです。第二種の7科目に比べて、「電気応用」と「発電施設、送電施設及び変電施設」が加わります。
| 学科試験の科目 |
|---|
| 電気に関する基礎理論 |
| 配電理論及び配線設計 |
| 電気応用 |
| 電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 |
| 電気工事の施工方法 |
| 自家用電気工作物の検査方法 |
| 配線図 |
| 発電施設、送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性 |
| 一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令 |
学科試験は、次の場合に申請で免除されます。
- 前回または前々回の第一種の学科試験に合格した人
- 電気主任技術者(第一種〜第三種)の免状を持つ人 など
第二種と違い、学校を卒業したことによる学科試験の免除はありません。
技能試験
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験の方法 | 配線図で出された問題を、配られた材料と持参した工具で、時間内に完成させる |
| 試験時間 | 60分(令和8年度の候補問題の公表時点の予定) |
| 合格基準 | 作品に欠陥がないこと |
| 出題 | 事前に公表される候補問題(令和8年度はNo.1〜No.10)の中から出る |
指定工具は、ペンチ、ドライバー(プラス・マイナス)、電工ナイフ、スケール、ウォーターポンププライヤー、リングスリーブ用圧着工具です。必ず持っていきます。
電動工具や、テスターなどの計測機器は使えません。リングスリーブ用圧着工具は、JIS C 9711に合うもの(握りが黄色のもの)を使わないと、欠陥の対象になります。
日数:上期・下期の年2回
試験は上期と下期の年2回です。令和8年度は、こんな日程でした。
| 上期 | 下期 | |
|---|---|---|
| 申込み受付 | 2月13日〜3月2日 | 7月27日〜8月13日 |
| 学科試験(CBT方式) | 4月1日〜5月8日 | 9月11日〜10月18日 |
| 学科試験(筆記方式) | なし | 10月4日 |
| 技能試験 | 7月4日 | 11月21日 |
令和9年度からは、学科試験はCBT方式だけになると案内されています。上期は申込み受付が2月12日〜3月1日、学科試験が4月1日〜5月8日、技能試験が7月3日です。下期は申込み受付が7月26日〜8月12日、学科試験が9月8日〜10月15日、技能試験が11月20日の予定です。
試験に受かったあとも、免状を受け取るには実務経験3年以上が必要です。実務経験がまだない人は、試験の日程とは別に、3年の期間を見込んでおきます。
費用:受験手数料13,000円+免状の手数料
受験手数料は、申込み方法で金額が違います。
| 申込み方法 | 受験手数料 |
|---|---|
| インターネット申込み(原則) | 13,000円(非課税) |
| 郵送で書面の申込み | 14,400円(非課税) |
学科試験が免除になる人も、同じ金額です。払い込みには、別に事務手数料がかかります(申込者の負担)。申込みが受け付けられたあとは、自分の都合では返金されません(決められた期日までに取り消しを申請した場合などを除く。くわしくは受験案内で確かめてください)。
合格して実務経験を満たしたら、都道府県に免状の交付手数料を払います。金額は都道府県ごとに違います。
| 例 | 金額 |
|---|---|
| 受験手数料(インターネット申込み) | 13,000円 |
| 免状の交付手数料(広島県の例) | 6,000円 |
| 合計(広島県に住む人の例) | 19,000円 |
広島県の公式ページ(2026年6月5日掲載)では、申請手数料は6,000円です。このほか、技能試験の工具や練習用の材料、免状を取ったあとの定期講習の受講料がかかります。
受験料に免状、工具に講習…。全部自分で払うと大変ですね。
中の人の周りの現場では、仕事で使う資格は会社が費用を出してくれるのがふつうだよ。一歩ずつ行けば、ちゃんと着くよ。
合格率:最新の学科は58.6%・技能は56.1%
電気技術者試験センターの発表では、令和8年度はこうでした。
| 試験 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 下期 学科試験(2026年11月2日発表) | 23,382人 | 13,692人 | 58.6% |
| 上期 技能試験 | 12,514人 | 7,019人 | 56.1% |
| 上期 学科試験 | 14,507人 | 8,307人 | 57.3% |
下期の学科試験の受験者のうち、CBT方式は11,960人、筆記方式は11,422人でした。下期の技能試験は11月21日に行われます。
前の年(令和7年度)は、下期の学科が57.9%、上期の技能が55.1%でした。試験センターは、過去の試験問題と解答もホームページで公開しています。
免状の受け取り方と定期講習
免状は、住民登録をしている都道府県の知事が交付します。広島県の例では、申請に次のものが必要です。
- 電気工事士免状交付申請書
- 第一種電気工事士試験結果通知書(オレンジ色のはがき)の原本
- 実務経験証明書(広島県は、申請前に案を送って事前確認を受ける)
- 写真1枚(縦4cm×横3cm・申請前6か月以内に撮影)
- 返信用封筒・申請手数料6,000円
広島県では、受け付けからおおむね3週間以内に免状が郵送されます。必要なものは都道府県で違うので、自分の県の窓口で確かめてください。
5年ごとの定期講習
電気工事士の免状に有効期限はありません。ただし第一種だけは、電気工事士法で講習が決められています。
免状の交付を受けた日から5年以内に、自家用電気工作物の保安に関する講習を受けなければなりません。講習を受けた日からも、同じように5年以内ごとに受け続けます。講習は、経済産業大臣が指定する機関が行います。
取ったあとの仕事
第一種電気工事士が活きるのは、ビルや工場、店舗などの電気設備の工事の仕事です。
国の統計(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年9月分)では、ハローワークの有効求人はこうなっていました。
| 仕事の分類 | 有効求人 |
|---|---|
| 電気工事従事者 | 21,350件 |
※常用(パートを含む)の数字です。この中には、電気工事士の資格を求めていない求人も含まれます。
第一種のあとは、電気主任技術者の資格に進む道もあります。電気主任技術者の免状を持つ人は、第一種の学科試験が免除になります。
そろえる教材
第一種電気工事士のテキスト・技能試験の練習
学科は60点が合格ライン、技能は候補問題10問から出題されます。技能試験は第二種と同じく指定工具で練習が必要です。新しい年度の版を選びましょう。
eラーニングで学ぶなら:SAT
現場系・技術系の資格のeラーニングを扱うSAT株式会社の講座一覧には、「第一種電気工事士」があります(2026年11月3日に公式サイトで確認)。講座の中身や対応している範囲は講座ページで確かめてください。
よくある質問
実務経験がなくても第一種の試験を受けられますか?
受けられます。受験に制限はありません。ただし免状を受け取るには、電気工事の実務経験が3年以上必要です。合格する前の経験も対象になります。
第一種に合格すれば、住宅の配線工事もできますか?
合格しただけではできません。第二種の免状を取るか、実務経験を積んで第一種の免状を受け取ってからになります。
第一種の免状に更新はありますか?
免状に有効期限はありませんが、交付を受けた日から5年以内ごとに、自家用電気工作物の保安に関する講習を受けることが法律で決められています。
参考・出典
出典(9件)
- 電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験」(試験日程・受験手数料)
- 電気技術者試験センター「第一種電気工事士の試験概要」(学科・技能試験・学科試験の免除)
- 電気技術者試験センター「第一種電気工事士の学科試験のポイント」(試験時間・出題数・科目)
- 電気技術者試験センター「令和8年度第一種電気工事士下期試験受験案内」(できる工事・実務経験・合格基準・指定工具)・「第一種電気工事士の資格取得フロー」
- 電気技術者試験センター「令和8年度第一種電気工事士技能試験候補問題の公表について」(試験時間60分の予定)
- 電気技術者試験センター「令和8年度第一種電気工事士下期学科試験の結果について」・「上期技能試験の結果について」・「上期学科試験の結果について」
- 電気技術者試験センター「電気工事士の資格概要」(第一種と第二種の違い・有効期限)・「令和9年度電気工事士試験の実施日程等のご案内」
- e-Gov法令検索「電気工事士法」(第3条・第4条・第4条の3)
- 広島県「第一種電気工事士免状の交付を受けるとき(試験合格者)」・厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)」参考統計表