03建設・土木・電気工事

小型移動式クレーン技能講習の取り方|1t以上5t未満・全科目20時間

つり上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーンを運転するには「小型移動式クレーン運転技能講習」が必要です。0.5トン以上1トン未満の特別教育、5トン以上の免許との違い、講習の科目と時間、免除、日数と費用の例を国の法令と講習機関の公式情報で整理しました。

全科目20時間・3日間の例

小型移動式クレーンの取り方

AT A GLANCE

小型移動式クレーン運転技能講習の早見表

資格名
小型移動式クレーン運転技能講習
種類
技能講習(労働安全衛生法)
費用の目安
全科目で41,855円の例(東京・税込・テキスト代込み)
かかる日数
全科目は3日間(学科2日・実技1日)の例
受ける条件
玉掛け技能講習や床上操作式クレーンの技能講習などを持っていると、一部の科目が免除される
公式の出典
公式情報を確認する ↗

MONEY MAP

この仕事の月収と、費用対効果

統計の職種:クレーン・ウインチ運転従事者(人数が少なく数字がぶれやすい職種)

この職種41.3万円
全体の平均37.0万円

月収=きまって支給する現金給与額(残業代などを含む・賞与を除く)。全体の平均との差は+4.2万円。

この職種全体
月収(きまって支給)41.3万円37.0万円
うち基本の給与(所定内)35.9万円34.1万円
年間の賞与など91.2万円101.0万円
年収の目安(計算値)約587万円約546万円

費用対効果

取るのにかかる費用 41,855円(全科目・東京の例)は、この職種の月収の約10%、日数にすると約3.0日分です。

出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・男女計・企業規模10人以上(e-Stat ↗)。年収の目安は「月収×12+賞与」で計算した値です。統計は「その職種で働く人の平均」で、資格を持つ人だけの平均ではありません。日数は1か月を30日として計算しています。

目次

「現場で小型移動式クレーンを取ってと言われた。どんな資格?」

「1トン未満と5トン以上で、何が違うの?」

「講習は何日? 玉掛けを持っていたら短くなる?」

小型移動式クレーンは、トラックの荷台についたクレーンなど、場所を移しながら使えるクレーンのうち、つり上げ荷重が1トン以上5トン未満のものです。運転するには、国家試験ではなく、登録教習機関の講習を受けて取る修了証が必要です。

この記事でわかること

  • 0.5トン・1トン・5トンで変わる、必要な資格の違い
  • 修了証を受け取るまでの4ステップ
  • 講習の科目と時間(全科目20時間)と、免除の条件
  • 日数と費用の例(全科目で3日・41,855円)

この記事の答え

つり上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーンを運転するには、「小型移動式クレーン運転技能講習」を修了する必要があります。

講習は全科目で20時間です。玉掛け技能講習などを持っている人は、一部の科目が免除されます。

費用は、東京の全科目の例で41,855円(税込・テキスト代込み)です。

読者読者

小さいクレーンなら、資格はいらないと思っていました。

ちずがめちずがめ

大きさで区分が分かれているんだ。まずは自分の使うクレーンがどこに入るか見てみよう。

ゴール:取ると何ができる?

技能講習を修了すると、つり上げ荷重1トン以上5トン未満の移動式クレーンを運転する仕事ができます。つり上げ荷重とは、そのクレーンがつれる重さの上限のことです。

必要な資格は、つる荷の重さではなく、クレーンのつり上げ荷重で決まります。区分は法令でこう分かれています。

移動式クレーンのつり上げ荷重必要なもの
0.5トン未満クレーン等安全規則の対象外
0.5トン以上1トン未満特別教育(会社が行う教育)
1トン以上5トン未満小型移動式クレーン運転技能講習の修了(または移動式クレーン運転士免許)
5トン以上移動式クレーン運転士免許(国家試験)

5トン以上のクレーンを運転したいときは、技能講習ではなく、移動式クレーン運転士の免許試験に合格する必要があります。逆に、免許を持っている人は5トン未満も運転できます。

運転の資格と、荷をフックにかける「玉掛け」の資格は別です。玉掛けの仕事をするには、運転の資格とは別に、玉掛けの技能講習や特別教育が必要です(クレーン等安全規則 第221条・第222条)。

法律ではどう決まっている?

根拠は労働安全衛生法施行令の第20条第7号です。つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンの運転は、資格のある人しかつけない「就業制限」の仕事とされています。

そのうえで、クレーン等安全規則の第68条が、この仕事は移動式クレーン運転士免許を持つ人と決めています。ただし1トン以上5トン未満なら、小型移動式クレーン運転技能講習の修了者でもよい、とされています。

1トン未満は、同じ規則の第67条で、会社が特別教育を行うよう決められています。0.5トン未満のクレーンは、第2条でこの規則の対象から外れています。

公道を走るには運転免許が別に必要

施行令やクレーン等安全規則では、道路の上を走らせる運転は、この資格の対象から外すと書かれています。技能講習の修了証は、クレーンを作業で動かすための資格です。

道路を走るには、道路交通法の運転免許が別に必要です。道路交通法第64条は、公安委員会の運転免許を受けずに自動車を運転してはいけないと定めています。どの免許がいるかは、その車の種類(普通・中型・大型・大型特殊など)で決まります。

道筋:修了証を受け取るまでの4ステップ

  1. 自分の区分を確かめる 玉掛けやクレーンの資格、運転の経験があるかで、受ける科目が変わります(下の表)。
  2. 登録教習機関に申し込む 講習を行えるのは、都道府県労働局に登録された教習機関です。日程と料金は機関ごとに決まっています。
  3. 学科と実技の講習を受ける 学科はクレーンの知識・原動機と電気・力学・法令、実技は運転と合図です。
  4. 修了試験に合格して修了証を受け取る 学科試験と実技試験があります。合格すると修了証が交付されます。

申し込む前に、次の3つを手元で確かめておくと、区分の選び間違いを防げます。

  • 職場で使う移動式クレーンのつり上げ荷重は、1トン以上5トン未満か
  • 玉掛け技能講習や、床上操作式クレーン運転技能講習の修了証を持っているか
  • クレーンの運転の経験がある場合、会社に証明を出してもらえるか

講習の時間:全科目で20時間

国の告示(クレーン等運転関係技能講習規程)では、講習の中身と時間がこう決まっています。

区分科目時間
学科小型移動式クレーンに関する知識6時間
学科原動機及び電気に関する知識3時間
学科運転のために必要な力学に関する知識3時間
学科関係法令1時間
実技小型移動式クレーンの運転6時間
実技運転のための合図1時間

学科は13時間、実技は7時間で、合わせて20時間です。この告示は、床上操作式クレーンの技能講習とあわせて1つにまとめられています。

各科目で学ぶこと

告示には、科目ごとに学ぶ範囲も書かれています。言いかえると、次のような中身です。

  • クレーンに関する知識:種類と形、主な部分、つり上げ・起伏・旋回の仕組み、安全装置とブレーキ、扱い方
  • 原動機及び電気:エンジン(内燃機関)、油の力で動かす仕組み(油圧駆動装置)、感電の危なさ
  • 力学:力のつり合い、重心、速度、荷重、ワイヤロープやフックの強さ、ロープの掛け方と荷重の関係
  • 関係法令:労働安全衛生法やクレーン等安全規則のうち、関わるところ
  • 実技の運転:基本の操作、重さの確認、荷のつり上げ、決めた道すじでの運搬、決めた場所への荷の卸し
  • 実技の合図:荷をつり上げる・卸す・横に動かすときの合図

学科は、おおむね100人以内を1つの単位にして行います。実技は10人以内が1つの単位です。

講習の最後には修了試験があります。学科は筆記か口述、実技は実際の運転で行います。

免除で短くなる人

持っている資格や経験によって、一部の科目の受講が免除されます。

あなたの状態免除される科目講習の時間
資格・経験なしなし20時間
玉掛け技能講習を修了している力学(3時間)と合図(1時間)16時間
床上操作式クレーン運転技能講習を修了している力学(3時間)と合図(1時間)16時間
クレーン・デリック運転士免許か、揚貨装置運転士免許を持っている力学(3時間)と合図(1時間)16時間
車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習を修了している原動機及び電気(3時間)17時間
クレーン・移動式クレーンの運転など、決められた仕事に6か月以上ついた合図(1時間)19時間

※時間はどれも告示の科目の時間を足したもので、修了試験の時間は入っていません。告示には、建設機械施工管理技術検定の合格者や、鉱山での運転経験がある人の免除もあります。どの区分で受けられるかは、申し込む教習機関で確かめてください。

読者読者

玉掛けを先に取っておくと、4時間短くなるんですね。

ちずがめちずがめ

そう。申し込む前に、自分の修了証を手元に出して確かめておこう。一歩ずつ行けば、ちゃんと着くよ。

日数の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の小型移動式クレーン運転技能講習は、学科2日・実技1日の3日間です。実技の日程は、申し込んだあとに受講票で知らされます。

この機関の時間割では、学科の最後に修了試験が1時間、実技の最後にも修了試験が1時間の目安で入っています。

受講の区分は2つです。何も持っていない人のA区分と、玉掛け技能講習・床上操作式クレーン運転技能講習の修了者や、クレーン・デリック・揚貨装置の運転免許を持つ人のB区分です。B区分は、申し込む時点で資格を持っていることが条件です。

修了試験に合格すると、原則として講習の修了日に、写真入りのプラスチックカードの修了証が交付されます。

なお、この機関の講習はテキストも修了試験も日本語(漢字を含む)です。日程の組み方は教習機関ごとに違うので、仕事を休む日数を決める前に、申し込み先の日程表を見てください。

1トン未満の特別教育の中身

つり上げ荷重0.5トン以上1トン未満の移動式クレーンだけを運転する場合は、特別教育です。国の告示(クレーン取扱い業務等特別教育規程)で、科目と時間がこう決まっています。

区分科目時間
学科移動式クレーンに関する知識3時間以上
学科原動機及び電気に関する知識3時間以上
学科運転のために必要な力学に関する知識2時間以上
学科関係法令1時間以上
実技移動式クレーンの運転3時間以上
実技運転のための合図1時間以上

特別教育は、会社が働く人に行うものと決められています。修了しても、1トン以上の移動式クレーンは運転できません。あとから1トン以上のクレーンに乗る可能性があるなら、はじめから技能講習を考えておくと迷いません。

費用:全科目で約4.2万円の例

東京労働基準協会連合会(安全衛生研修センター)の料金表では、小型移動式クレーン運転技能講習はこうなっています。

区分受講料テキスト代合計(税込)
全科目40,150円1,705円41,855円
一部免除35,750円1,705円37,455円

※令和8年9月1日現在の料金表より。受講料は教習機関ごとに決まっていて、場所によって違います。申し込み先の公式の料金表で確かめてください。

読者読者

4万円台か…。自分で払うんでしょうか?

ちずがめちずがめ

中の人の周りの現場では、会社が費用を出してくれるのがふつうだよ。中の人も会社の負担で取ったんだ。まず職場に聞いてみよう。

取ったあとの仕事

小型移動式クレーンの仕事は、資材を運び入れる建設や土木の現場、荷の積み下ろしをする現場などにあります。

国の統計(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年9月分)では、ハローワークの有効求人はこうなっていました。

仕事の分類有効求人
定置・建設機械運転従事者(クレーンや建設機械を動かす仕事)17,372件
土木作業43,041件

※常用(パートを含む)の数字です。この中には、小型移動式クレーンの資格を求めていない求人も含まれます。

玉掛け技能講習を先に修了している人は、免除で講習の時間が4時間短くなります。

よくある質問

小型移動式クレーンに「免許」はないのですか?

1トン以上5トン未満は、国家試験の免許ではなく、登録教習機関の技能講習を修了して受け取る修了証で運転できます。5トン以上は、移動式クレーン運転士免許が必要です。

修了証があれば、クレーンのついたトラックで公道を走れますか?

走れません。技能講習は道路を走らせる運転を対象にしていません。公道を走るには、その車に合った道路交通法の運転免許が別に必要です。

軽い荷物しかつらないなら、特別教育で足りますか?

荷の重さでは決まりません。使う移動式クレーンのつり上げ荷重が1トン以上なら、技能講習の修了(または免許)が必要です。

参考・出典

出典(9件)
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