フルハーネス特別教育の取り方|学科4.5時間+実技1.5時間・1日の例
高さ2m以上で作業床を設けるのが難しい場所でフルハーネスを使うなら、特別教育が必要です。学科4.5時間・実技1.5時間の中身、経験者が省略できる科目、東京・立川で1日・14,740円の例まで、国の告示と厚生労働省のリーフレットで整理しました。
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学科4.5時間+実技1.5時間
フルハーネス特別教育の取り方
AT A GLANCE
フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務の特別教育の早見表
- 資格名
- フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務の特別教育
- 種類
- 特別教育(労働安全衛生法)
- 費用の目安
- 一般14,740円の例(東京・立川・税込・テキスト代込み・令和8年度)
- かかる日数
- 1日(9:00〜16:10)の例
- 受ける条件
- 高さ2m以上で作業床を設けるのが難しい場所でフルハーネスを使う作業をする人
- 公式の出典
- 公式情報を確認する ↗
MONEY MAP
この仕事の月収と、費用対効果
統計の職種:建設躯体工事従事者(とび職などを含む職種。フルハーネスを使う人だけの平均ではありません)
月収=きまって支給する現金給与額(残業代などを含む・賞与を除く)。全体の平均との差は−5.0万円。
| この職種 | 全体 | |
|---|---|---|
| 月収(きまって支給) | 32.0万円 | 37.0万円 |
| うち基本の給与(所定内) | 30.3万円 | 34.1万円 |
| 年間の賞与など | 30.3万円 | 101.0万円 |
| 年収の目安(計算値) | 約415万円 | 約546万円 |
費用対効果
取るのにかかる費用 14,740円(東京・立川の例・一般)は、この職種の月収の約5%、日数にすると約1.4日分です。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者・男女計・企業規模10人以上(e-Stat ↗)。年収の目安は「月収×12+賞与」で計算した値です。統計は「その職種で働く人の平均」で、資格を持つ人だけの平均ではありません。日数は1か月を30日として計算しています。
目次
「高いところの作業で、フルハーネスの特別教育を受けてと言われた」
「何時間かかる? 前から安全帯を使っていても受け直し?」
「どこで受けられて、いくらかかる?」
高いところで体を支える器具は、いまの法令では**「墜落制止用器具」**と呼ばれます。その中のフルハーネス型を使う作業には、国が中身と時間を決めた特別教育があります。
この記事でわかること
- フルハーネスの特別教育が必要になる作業
- 修了証を受け取るまでの4ステップ
- 学科4.5時間・実技1.5時間の中身と、省略できる科目
- 日数と費用の例(東京・立川で1日・14,740円)
この記事の答え
高さ2m以上で作業床を設けるのが難しい場所で、フルハーネス型を使って作業するなら、特別教育を受ける必要があります。
国の決まりでは、学科4.5時間以上と実技1.5時間以上です。
東京・立川の講習機関の例では1日、費用は一般14,740円(税込・テキスト代込み)です。
現場で「フルハーネスの特別教育を受けてきて」と言われました。何から調べればいいですか?
まずは「どんな作業が対象か」から地図を広げよう。順番に見ていくね。
ゴール:取ると何ができる?
労働安全衛生法では、危ない仕事に人をつかせるとき、会社(事業者)は特別の教育をしなければならないと決まっています。
その仕事の一つが、労働安全衛生規則第36条第41号です。中身は**「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところ」**で、フルハーネス型の墜落制止用器具を使って行う作業です。作業床(さぎょうしょう)は、人が立って作業するための足場の床のことです。
つまり、特別教育を受けると、こうした高い場所でフルハーネスを使う作業に就くための入口に立てます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式な名前 | 墜落制止用器具を用いて行う作業に係る業務に係る特別教育(講習機関では「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」などの名前) |
| 決めている法令 | 労働安全衛生法第59条第3項・労働安全衛生規則第36条第41号 |
| 中身を決めている告示 | 安全衛生特別教育規程 第24条 |
| 対象から外れるもの | ロープ高所作業(第36条第40号)。こちらは別の特別教育 |
| 始まった日 | 2019年(平成31年)2月1日から(厚生労働省のリーフレット) |
特別教育は国家試験の「免許」ではありません。法律が会社に求めている教育で、外部の講習機関でも受けられます。
「安全帯」から名前が変わった
厚生労働省のリーフレットによると、法令の上では「安全帯」の名前が「墜落制止用器具」に改められました。墜落制止用器具として認められるのは、胴ベルト型(一本つり)とハーネス型(一本つり)だけです。
体を肩や腰、ももなど何か所かで支えるのがフルハーネス型です。リーフレットでは、改正の背景として胴ベルト型は落ちたときに内臓をいためたり胸が圧迫されたりする危険が指摘されていると説明されています。
現場では、これまでどおり「安全帯」「ハーネス型安全帯」と呼んでもかまわないとされています。
フルハーネス型が原則になる高さ
リーフレットでは、墜落制止用器具はフルハーネス型を使うのが原則とされています。
ただし、落ちたときに地面に届くおそれがある場合(高さ6.75m以下)は、胴ベルト型(一本つり)を使えます。また、一般的な建設作業では5mを超える場所でフルハーネス型の使用がすすめられています。
| 高さ・場面 | リーフレットの説明 |
|---|---|
| 6.75mを超える場所 | フルハーネス型を選ぶ |
| 6.75m以下で、地面に届くおそれがある | 胴ベルト型(一本つり)を使える |
| 一般的な建設作業で5mを超える場所 | フルハーネス型の使用がすすめられる |
| 柱上作業などで2m以上の場所 | フルハーネス型の使用がすすめられる |
特別教育が必要かどうかは、器具の種類で決まります。2m以上の作業床がない場所でフルハーネス型を使うなら対象、と覚えておくと分かりやすくなります。
会社にも決まりがある
特別教育は、働く人より先に、会社に向けた決まりです。労働安全衛生規則には、会社がやることも書かれています。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 第37条(科目の省略) | 十分な知識と技能があると認められる人は、その科目を省略できる |
| 第38条(記録の保存) | 特別教育をしたら、受けた人や科目の記録をつくり、3年間保存する |
道筋:修了証を受け取るまでの4ステップ
- 職場で必要か確かめる 2m以上で作業床がない場所で、フルハーネス型を使う作業かどうかを確かめます。会社が社内で教育する場合もあるので、先に職場に聞くと二度手間になりません。
- 省略できる科目があるか確かめる これまでの作業経験やほかの特別教育によって、省略できる科目があります(下の表)。ただし、講習機関によっては省略なしの講習だけを開いています。
- 講習機関に申し込む 外部で受けるなら、各地の労働基準協会などの講習に申し込みます。日程と料金は機関ごとに決まっています。
- 学科と実技を受けて修了 学科は器具の知識・災害の防ぎ方・法令、実技は実際にフルハーネスを着けて学びます。修了証の受け取り方は申し込み先で確かめてください。
講習の中身と時間
国の告示(安全衛生特別教育規程 第24条)では、講習の中身と時間がこう決まっています。時間は「この時間以上行う」という最低ラインです。
| 区分 | 科目 | 主な範囲 | 時間 |
|---|---|---|---|
| 学科 | Ⅰ 作業に関する知識 | 作業に使う設備の種類・つくり・扱い方、点検と整備、作業の方法 | 1時間 |
| 学科 | Ⅱ 墜落制止用器具(フルハーネス型)に関する知識 | ハーネスとランヤードの種類とつくり、着け方、取り付け方と選び方、点検と整備、関連する器具の使い方 | 2時間 |
| 学科 | Ⅲ 労働災害の防止に関する知識 | 墜落・落下物・感電を防ぐこと、保護帽の使い方と点検、事故のときの対応 | 1時間 |
| 学科 | Ⅳ 関係法令 | 法律・政令・規則の関係する条文 | 0.5時間 |
| 実技 | Ⅴ 墜落制止用器具の使用方法等 | ハーネスの着け方、ランヤードの取り付け方、墜落を防ぐこと、点検と整備 | 1.5時間 |
学科が合計4.5時間、実技が1.5時間で、全部で6時間です。
ランヤードは、ハーネスと、体をつなぎとめる場所(取付設備)を結ぶ綱やベルトのことです。保護帽はヘルメットのことです。
学科でいちばん長いのは、器具そのものの知識の2時間です。正しく着けて、正しい場所に掛けるまでを学びます。
経験がある人は一部を省略できる
厚生労働省のリーフレットには、十分な知識と経験がある人は、科目の一部を省略できると書かれています。
| こんな人 | 省略できる科目 |
|---|---|
| 2019年2月1日の時点で、2m以上の作業床がない場所でフルハーネス型を使う作業を6か月以上していた人 | Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ |
| 2m以上の作業床がない場所で、胴ベルト型を使う作業を6か月以上していた人 | Ⅰ |
| ロープ高所作業の特別教育、または足場の組立て等の特別教育を受けた人 | Ⅲ |
どの科目を省略できるかを決めるのは、会社です。東京・立川の講習機関の例では「免除科目はありません」と案内されていて、全科目の講習だけを開いています。省略して受けたいときは、先に申し込み先に聞きましょう。
前の現場で胴ベルトを使っていました。それでも全部受けたほうがいいですか?
省略できるかは会社と申し込み先で確かめてね。一歩ずつ行けば、ちゃんと着くよ。
日数:1日の例
東京労働基準協会連合会の八王子労働基準協会支部では、令和8年度の講習を1日で行っています。
案内では、受付が8時30分から、講習が9時から16時10分までです。法令で決まった6時間の科目を、実技も含めて受けます。
会場は立川市の「東基連 たま研修センター」で、定員は各回42名、申込締切は開催日の7日前と案内されています。令和8年度の日程は、2026年6月17日・9月24日・2027年1月26日の3回です。
実技ではフルハーネスを実際に着けるため、動きやすい服装で来るよう案内されています。講習日には写真1枚(縦30mm×横24mm)も持っていきます。
費用:一般14,740円の例
東京労働基準協会連合会 八王子労働基準協会支部の令和8年度の案内では、こうなっています。
| 区分 | 受講料 | テキスト代 | 合計(税込) |
|---|---|---|---|
| 一般(会員以外) | 13,750円 | 990円 | 14,740円 |
| 会員 | 10,450円 | 990円 | 11,440円 |
※2026年1月4日付の案内より。会員は、東京労働基準協会連合会の会員です。テキストが改訂されると、年度の途中でテキスト代が変わる場合があると書かれています。
同じ東京労働基準協会連合会でも、安全衛生研修センターの料金表(令和8年9月1日現在)には、この特別教育の行はありませんでした。受講料は講習機関ごとに決まっていて、場所によって違います。申し込み先の公式の案内で確かめてください。
1万円台なら、自分で払って先に受けておこうかな。
中の人の周りの現場では、仕事で使う資格は会社が費用を出してくれるのがふつうだよ。先に職場に聞いてみてね。
取ったあとの仕事
フルハーネスは、建物の骨組みをつくる現場や、高い場所での設備の工事など、墜落のおそれがある作業で使われます。
国の統計(厚生労働省「一般職業紹介状況」2026年9月分)では、「建設躯体工事」の仕事のハローワークの有効求人は19,158件でした(常用・パートを含む)。建設躯体工事は、とび職など建物の骨組みをつくる仕事のくくりです。
この数字は、フルハーネスを使う仕事だけの求人ではありません。求人を探すときは、「フルハーネス」「特別教育」の言葉で絞りこむと見つけやすくなります。
求人票に「フルハーネス特別教育」と書かれていたら、修了していることが求められている、または入社後に受ける前提だと読めます。どちらなのかは、応募の前に求人を出している会社に聞いて確かめましょう。
そろえる教材
eラーニングで学ぶなら:SAT
現場系・技術系の資格のeラーニングを扱うSAT株式会社の講座一覧には、「フルハーネス型墜落制止用器具特別教育」があります(2026年11月3日に公式サイトで確認)。実技の扱いや修了証の条件は、講座ページで確かめてください。
よくある質問
フルハーネスの特別教育に試験はありますか?
国の告示(安全衛生特別教育規程 第24条)で決まっているのは、学科と実技の科目と時間です。修了のしかたは講習機関によって違うので、申し込み先の案内で確かめてください。
胴ベルト型を使うだけなら、特別教育はいりませんか?
労働安全衛生規則第36条第41号の対象は、フルハーネス型を使う作業です。ただし、厚生労働省のリーフレットでは、墜落制止用器具はフルハーネス型を使うのが原則とされています。胴ベルト型を使えるのは、高さ6.75m以下で地面に届くおそれがある場合などです。
ロープで体を支えて行う作業も、この特別教育でいいですか?
いいえ。ロープで体をつり下げて行う「ロープ高所作業」は、第36条第40号の別の特別教育です。この特別教育の対象からは外されています。